きもの・帯の収納・保管方法に関する3つのポイント

大切な絹のきもの・帯を収納、保管する上で気をつけるべきポイントを3つご紹介します。

いざ着てみようかな。娘に譲ろうかな。と思って数年数十年ぶりにタンスから取り出してみたとき、シミや変色だらけになってしまっていた。シワだらけで型くずれしてしまっている。虫食い、カビが生えてしまっている。なんてこともよくある話です。

最低限この3つのポイントを抑えていれば、いざという時に着れない。すぐ着れない。なんてこともなくはるはずです。

①ハンガーにかけて”陰干し”をする

きものを着用した後は、和装用ハンガーにかけて半日~1日、通気性の良いところで陰干しをしてください。
(※ あまり長期間、ハンガーにかけて干しっぱなしにしすぎると型崩れの原因になるのでご注意を。 )

そして、ハンガーに掛けた状態でブラシか、柔らかい布(ビロード)で全体の埃を払います。
この時に汚れなどがないか確認するといいでしょう。

着用後だけでなく、年に数回、天気のいい日にこの陰干しをすることでシミや黄変になるリスクを防げます。

”陰干し”(虫干し)に適した時期

一年に3回陰干しできればベストですが、最低でも年に1度はしておきましょう。

寒干し( 1月下旬~2月上旬 )

湿度の低い冬に衣類の湿り気をとばすため。

土用干し(7月下旬~8月上旬)

梅雨でたまった湿気を乾かすため

虫干し(9月下旬~10月中旬)

夏に寄ってきた虫を追い払い、駆除するため

きものハンガーは帯も掛けられる伸縮式のものがおすすめです。

②”折り目正しく”たたみ、たとう紙に包む

久しぶりにだしてみたきものが、シワだらけ、型が崩れている、なんてことありませんか?

きもの・帯を美しく保管するためには、正しいたたみ方をすることが重要です。

主なたたみ方は、「本だたみ」「袖だたみ」「夜着だたみ」で「本だたみ」が一般的とされています。

たたむ際、箔や刺繍がほどこされているきものには、 箔落ちや変色を防ぐために薄い白布や和紙をあてておくことをおすすめします。

たたんだ後は、和装用のたとう紙に包みます。

たとう紙も陰干しの際などに確認して湿気などで変色したりしていれば交換してください。

③”湿気”と”汚れ”に気をつける

きもの・帯の収納には、防湿効果に優れた桐タンスや衣裳箱が適しています。

とにかく絹の大敵は”湿気”と”汚れ”です。

シミ、黄変、カビを防ぐためには、「清潔な状態で、通気性の良い、湿気の少ないところに保管すること」が何より大切です。

目には見えない汚れや汗、ファンデーションなどの化粧汚れなどが後々、シミや黄変、虫食いの原因になりますので着用後しばらく着ることがない場合は、しみ抜きや丸洗いなどきもの専用のお手入れにだしましょう。

特にきものを着てお食事をされた際は要注意です。

湿気・防虫対策としては、香料の強い防虫剤より、和装用の防虫・防カビを兼ねた無臭タイプの乾燥剤(シートタイプ)をたとう紙の上において置くことおすすめします。

虫食い・防虫剤について

絹を食す虫も存在しますが、基本的には絹に付着した汚れなどに寄ってきます。

やはり清潔な状態で湿気を防ぐことがまず大事です。

虫食い防止のため、香料がきつい防虫剤( 合成樟脳・ナフタリン・パラジクロルベンゼンなど)をタンスやたとう紙に入れて保管している方がよくいますが、これはあまり効果がありませんし、匂いがうつってしまうのでおすすめできません。

防虫剤をいれていても湿気があればシミや黄変ができてしまいます。

万全の対策だと思って防虫剤・除湿剤を併用することも基本的にはNGです。化学反応を起こしてしまうケースがあります。

また、絹のきものや帯と一緒にウールのきもの、腰ひもなどを一緒に保管するのもNGです。

ウールは絹よりも虫に食われやすいので虫食いリスクが高まってします。

実際にあったお客様の声-Q&A-


お手入れ(クリーニング)してタンスにしまっていたのに数年後取り出してみたらシミ、カビが生えていた。

きもの専用のしみ抜きをしていなかった場合、とりきれなかった汚れが酸化してシミになってしまうことがあります。
また、お手入れしていても湿気のあるところであればカビが生えてしまうこともあります。


防虫剤をいれていたのに、シミができていたり、変色してしまっている。

湿気取りの効能も併用した防虫剤を使用してください。何より湿気が大敵です。


数十年ぶりに取り出してみたらシミと変色がひどいです。とれるでしょうか?

シミも黄変も100%完全にとることは難しいです。
特にシミを放置し続けて変色した黄変は一番厄介です。薄くすることは可能ですが、数万円ほどかかるケースも多く、費用がかさんでしまいます。お見積りすることも可能です。


きものを着て食事した際、誤ってきものに飛んでしまった油汚れをこすって落とそうとしたら色が変色してしまいました。

特に油汚れなどは厄介ですね。気になるでしょうが、できるだけこすったりせず、そのままの状態でできるだけ早くきもの専用のしみ抜きにだしてください。
こすってしまって色落ち、変色してしまうと、しみ抜きだけでなく、色掛けなどプラスで費用がかかってしまいます。こちらも見積もり可能です。

まとめ

絹は、はるか昔から人々を魅力してきた美しさの反面、とても繊細な素材でもあります。

絹の特性を理解した上で、大事に管理していればきものは数十年、百年ともちますのでこの3つのポイントを実践してみてください。