加賀友禅

本加賀友禅杉村典重創作逸品訪問着「山丹花」

日本三代友禅の一つである「加賀友禅」。その独自性と艶やかさで現代も人々を魅了し続けております。

【加賀友禅特徴①】美しい自然を描く「加賀五彩」

臙脂・藍・黄土・草・古代紫を基調とした「加賀五彩」。美しい自然のありのままの美しさを表現しています。

写実的な草花模様が中心で、中心を淡く、外を濃く染める「外ぼかし」や「虫喰い」の技法も特徴の一つです。

【加賀友禅特徴②】 金彩・刺繍を使わないすっぴん勝負

加賀友禅は、京友禅とは対極的に豪華な金彩・刺繍をほとんど使用しません。

すっぴん勝負することが加賀友禅独特の美をつくりあげております。

【加賀友禅特徴③】 武家文化

京友禅は貴族文化、東京友禅は町人文化中心だが、加賀友禅は主に武家文化によって支えられてきました。

派手な加工を施さないのも武士好み。

【加賀友禅特徴④】 作家一貫性

京友禅は分業制に対して、加賀友禅、東京友禅は基本的に一人の作家が大部分の工程を担います。

「落款制度」加賀友禅ブランド

加賀友禅落款

加賀友禅の作家が制作した着物には、必ず作家の落款があります。

この落款は、自由に書けるものではなく「加賀染振興協会」に落款登録をしておく必要があります。

協会にこの落款を正式に登録している作家が真の加賀友禅作家です。

また、加賀友禅作家になるためには、師の下で7年以上の厳しい修行を積み技術を身につけること、 加賀染振興協会の会員2名(師匠ほか1名)の推薦を得ることが必須になります。こうしてはじめて協会から会員資格を得ることができるのです。

加賀友禅の作家作品が非常に高価とされる大きな理由は、この徹底的に保証された品質があるからといえます。

落款以外にも加賀染振興協会が発行する証紙があります。

品質の保持と類似品防止を目的に加賀友禅のきもの、関連製品に貼付されています。製品の種類によって証紙の色とデザインが異なります。

本加賀友禅山名田明雄創作逸品黒留袖「優雅花舞」

蝶屋取扱い作家

毎田仁郎、毎田健治、中町博志、宮野勇造、古泉良範、高田克也、松井眞夫、白坂幸蔵

牛首紬

牛首紬(うしくびつむぎ)は、主に石川県白山市白峰地区において生産されていて約800年以上の昔から伝承されている紬です。

釘を抜けるほど丈夫なことから「釘抜紬(くぎぬきつむぎ)」ともいわれることがある。

日本有数の豪雪地帯として知られる白峰村一帯では、蚕の餌となる桑の木は、天然では高木になるのですが、雪深いこの地域では雪に押し倒されて根元から曲がって育つため、葉を収穫しやすかったこともあり、古くから養蚕業が盛んでした。

また、山間の急峻な地形から農耕に適した平地が極端に少ないので、古くから養蚕が貴重な収入の手立てとして盛んでした。

糸作りこそが命

二匹の蚕が共同でつくる珍しい「玉繭」を利用して織られたのが、牛首紬です。

繭は、普通の養蚕をしていると2~3%の割合で必ず出るものです。しかし、繭から2本の糸が出るので、必ず絡まってしまいなかなかきれいな糸が作れないことから通常はくず繭の扱いをされてしまいます。

そしてこの「玉繭」を煮込み、手作業で糸を紡ぎ出す「のべびき」という糸取りの伝統技法。

この難しい糸づくりは熟練した職人の経験によって可能になり挽き出された玉糸は、弾力性・伸張性に優れ、牛首紬の全ての風合いの根本となっています。

まさに世界でも類を見ない糸づくりの技こそが牛首紬の命といえます。

能登上布

能登上布

「能登上布」とは、中能登一帯に神代の時代より伝わる伝統の麻織物であり、新潟県の「越後上布」沖縄県の「宮古上布」とともに日本屈指の本麻手織上布とされています。「能登縮(ちぢみ)」または「安倍屋(あべや)縮」ともいわれる

現在は石川県羽咋市、中能登町で生産されている。製造技術は石川県指定無形文化財。

能登上布の歴史

石川県・能登半島の鹿西町(現・中能登町)や羽咋市では、古くから麻とのつながりが深く、能登上布の起源は、約2000年前崇神天皇の皇女がこの地に滞在した際、野生の真麻で糸を作り、地元の婦女子に機織りを教えたことにあります。東大寺へ麻糸を納めたという記録も残っています。

江戸時代初期までは、この地で作られる良質の麻糸は近江上布の原糸として使用されていました。

後に、近江より職工を招き、染織技術を学ぶことで技術が格段に向上し、文政元年に初めて「能登」の文字を冠した「能登縮(ちぢみ)」が誕生することとなりました。元禄期には農家の女性の主な副業となり、近江商人により販路も拡大しました。

その後も技術向上の努力が続けられ、明治四十年には皇太子殿下への献上品に選ばれるまでになりました。

昭和初期、第二次世界大戦までの最盛期は織り元が120軒、出機数は6千軒を超え、年間生産反数20万~30万反となり麻織物で全国一の生産高を誇りましたが、時代の流れとともに衰退していき、昭和六十三年にはただ一軒となりながら、現在その最後の灯火を守る織元・「山崎麻織物工房」は今もその伝統の技を継承しています。

能登上布の特徴

①紺地または白地の絣が多い。

②「蝉(せみ)の羽」とも言われるほど薄くて軽い

③独自の絣染め

「櫛押捺染(くしおしなっせん)」(糸を括るかわりに櫛で糸を捺染する方法)や「ロール捺染」、「板締め」、「型紙捺染」

絣糸の染め方に地方と違う染をとっているのが特徴。

④「海晒し」

織り上げた布の糊を落とす為、海水に一昼夜漬けては乾かす作業を4~5回繰り返した後、ケヤキ製の臼に数反づつ入れて桐の杵で搗きます。次いで晒し桶でお湯をかけながら足でよく踏み、4~5時間寝かせた上で海水に拡げ、布を膨らませながらよく晒し、真水で十分濯いだ後海岸の岩場で天日に晒します。

⑤「機巻き」(ギリ)

機にかける前大変重要な作業です。

能登上布で使う麻糸は、伸縮性が全く無いので、他の織物のように織りながら針を使って絣合わせをするというのが不可能です。

そのため、機にかける前に経糸と緯糸を寸分の狂いも無く揃え、適度の張りを持たせて絣合わせをし、ギリという道具に巻きつけていきます。
麻糸は湿度がないと切れやすいため、湿度を一定に保ち、決して糸が途中で切れることのないように細心の注意を払って行われます。