結城紬
茨城県・栃木県を主な生産の場とする「結城紬」は、1956年(昭和31年)に「糸つむぎ・絣くくり・地機(じばた)織り」の3工程で国の重要無形文化財として指定されています。
以下3要件のすべてを満たさない場合は重要無形文化財とはみなされません。
(※重要無形文化財保持団体認定書より抜粋)
・使用する糸はすべて真綿より手つむぎした撚りの掛からない無撚糸を使用すること
・絣模様を付ける場合は手くびりによること
・地機で織ること
また、2010年(平成22年)にはUNESCO無形文化遺産にも登録されています。
人の手から紡がれる最高級の絹
本場結城紬の一番の特徴は、「熟練された職人たちの手で真綿からつむぎだす糸」にあります。
日本全国に数ある紬の中で、縦糸・緯糸の両方に手つむぎ糸を使うのは本場結城紬だけです。
これこそ、本場結城紬が最高峰の絹織物とされる由縁です。
真綿は、蚕の繭を煮て柔らかくし、広げたもので、柔らかく、空気をたくさん含むために温かく、とても心地良く優しい素材です。
この真綿から人の手で糸をつむぎ出すことで、素材の良さを損なわない、最上質の糸ができあがります。
結城紬は真綿糸を扱うために小麦粉による糊付けを行うのですが、この糊が湯通し・洗い張りによって落ち、着込むことで真綿のケバがとれる、その繰り返しのなかで、布は絹本来の光沢をみせていきます。そこにはハっと息を飲む、時間によって育まれた美しさがあります。
世代をつなぐぬくもりの布
良い風合いの結城紬を着ている方にお聞きすると、お母様、お祖母様からの譲られものという方がよくいらっしゃいます。
結城紬は真綿糸を扱うために糊付けを行うのですが、この糊が湯通し・洗い張りによって落ち、着込むことで真綿のケバがとれていきます。
その繰り返しのなかで、布は絹本来の光沢をみせていきます。そこには時間によって育まれた美しさがあります。
全身を包み込む布は、着ていた人の思い出とともに温もりも後世に伝えます。
素材が生きている上質な布は、時代の変化の中でも古びないため、世代を超えて人と人をつなぐ力があるのです。