盆帷子〜奥様から若奥様へ浴衣に込められる想い〜

今回ご紹介させていただく素敵な浴衣姿のお客様のお話しは先月7月にさかのぼります。

いつも大変お世話になっているお客様が、ご結婚されたご子息様のお嫁様へ
「盆帷子として浴衣を作ってあげたい。」とお話をしてくださいました。

「盆帷子」とは主には九州、福岡・佐賀の文化になります。 

ご結婚されるときお嫁様は、実家の家紋を着物に入れ嫁ぎ先へ持っていきます。
ご結婚が決まった後の事なので、嫁ぎ先の家紋を入れるのでは?と思いますが、
ご自身の生まれが分かる為、また昔は嫁いだらなかなか実家に帰れなかったことから
実家の家紋を大切に着物に入れて持って行ったと言います。

盆帷子とは、ご結婚され初めて迎えるお盆に、嫁ぎ先のお家から嫁ぎ先の家紋を入れて
「夏の着物」を作りお嫁様に送られることを言います。
昔は「夏の喪服」をご準備していただく事が多かったという事です。

そしてお嫁様はご準備していただいた夏着物を着て御先祖様をお盆にお迎えするというのが盆帷子の文化。
「帷子(かたびら)」とは「夏に着る単衣の着物」を示します。

最近では夏の喪服の着物をお召しいただくのはハードルが高く感じられたり、
またお洋服の喪服をお持ちな事が多いため、盆帷子の風習も少なくなってきました。

今回奥様は上記のようなことを踏まえ「必要で楽しく着ていただけるものを」とお考えになりい嫁様へ浴衣をご準備されました。

奥様もご結婚された時、ご主人様のお母様に盆帷子をしていただだいたというお話を聞き私もとても気持ちが温かくなりました。
奥様はいつも若奥様のことを大事にしていきたい。 とっても可愛いんです。とお話ししてくれます。
奥様の思いがたくさんこもった素敵な贈り物。

藤娘きぬたやさんの絞りの浴衣。
若奥様にもたくさんお召しいただき、いつの日かもしも女の子がご誕生されたら
大きくなられたときに着せてあげたらまた素敵だなと。

以前、着付けレッスンにご参加いただきこの日はご自身で浴衣をお召しになられました。
素敵な着姿を拝見させていただきとても嬉しく私も幸せでした。

ありがとうございます!

刑部 優美帆(おさかべ ゆみほ)

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