“京友禅”と”佐賀錦”の奏でる旋律「かざり錦」とは
「かざり錦」とは
「かざり錦」は、江戸時代から続く「佐賀錦」の手法を継承し、手織の技として趣の変わった光のある華麗な錦として命名されました。
”美の花”ブランドを展開するトキワ商事と小島氏によって共同開発された独自技術の作品です。
「かざり錦」は”経糸”に和紙に漆を塗り、金、銀箔を貼ったもの。”緯糸”にはなめらかな上質な絹糸を使用。
絹のもつ光沢と和紙のもつ柔らかさを活かしてひとつひとつ丹念に織り上げられた繊細で豪華絢爛な佐賀錦。
その佐賀錦をカットして、柄模様に合わせてパッチワークのように刺繍留めをして創作されたものが「かざり錦」です。
昭和・平成の時代になって、京友禅との出会いにより、新しいファッションが生まれ、なお研究発展しています。
主張しすぎない豪華さの中に上品さがただよう「かざり錦」の着物は、正装からパーティーなどの社交シーンまで宝石の輝きのように華麗で上品な装いを演出してくれます。
「かざり錦」ができるまで
①佐賀錦を織る
経糸には、和紙(三つ木亜)に漆を塗り、金銀箔を片面に張り、3センチの幅を30~60条に裁断します。
緯糸には、本絹糸の三本諸を特別に撚ります。
②図案の創作
図案家の図案をアップリケ用に修正し、構成を考え配色を練っていきます。
③金彩加工Ⅰ
反物にマスキングテープを貼ります。
鋭い小刀で下敷きした図案を型通りに切り、ピンセットで摘み、テープを剥がします。
剥がしたところに樹脂糸の箔下糊を塗布します。
④金彩加工Ⅱ
糊の塗布したところに10~50種類の箔を円筒状のメッシュの張った筒の中に入れ、砂子泊をつくり、色と色をブレンド・メッシュの荒いもの、細かいものの組み合わせによって図案通りに筆などで描いていきます。
⑤「佐賀錦」を切る
構成した図案を佐賀錦の平織、綾織等の数十種類の裂(きれ)を揃えて配色を組み、経、緯、斜め等に図案を写します。
パズルのように一枚づつ分解して番号を付けます。そして、写した佐賀錦をハサミで切っていきます。
⑥「佐賀錦」を貼る
多種多彩な佐賀錦の裂の向きを一枚一枚変えていくことで宝石のもつような煌めく味が生まれます。
特殊な接着剤を佐賀錦に塗り、コテにて裂を押さえていきます。
⑦刺繍でまとめる
佐賀錦の貼った縁くくりを金銀糸で揃え、佐賀錦と金銀糸を手刺繍で一針ひと針丹念縫っていきます。
友禅による加工・完成
作品によって異なりますが、地色の引染、友禅が加わって「かざり錦」の完成となります。
刺繍、絞り、友禅などとまた違った工程を重ねる「かざり錦」。
シンプルなようで大変な手間と技術力を要する「かざり錦」は染と織のいいどころ取りをしています。